RI会長からのメッセージ

バリー・ラシン

2018-19年度会長

2019年5月

誰よりも私のことをよく知っている私の家族は、ロータリーに対して私がかぎりない情熱を抱いていることを知っています。また、私が家族に同じようなロータリーへの関わり方を求めていないことも知っています。それは彼ら自身が決めることですから。しかし、家族が正しいことを選択するのを見ると微笑まずにはいられません。

昨年、トロント国際大会が終了すると、12歳の孫娘が「何かしなきゃ、っていう気持ちになったんだけど、私に何ができるかしら?」と私に言うのです。当然、私はまっとうなロータリアンである祖父らしく、学校にインターアクトクラブがあるかどうか尋ねました。インターアクトクラブがないことが分かると、孫娘は新しくクラブをつくろうとしました。残念ながら、学校長の賛同は得られませんでしたが、いつでもロータリーの青少年プログラムへの支援を思いとどまってはなりません。その価値は疑う余地のないのですから。

例えば、RYLA(ロータリー青少年指導者養成プログラム)があります。参加者は、周囲の世界を理解し、自信と目的意識を持つ青少年へと変身します。RYLAに参加した16歳の私の孫息子にも、嬉しいことにこの変化が見られました。

私の家族だけではありません。どこへ行っても、ロータリーの青少年プログラムで人生が変わったというあらゆる年齢の人たちと出会います。彼らは、5年前、15年前、25年前に、ロータリー青少年交換で新しい言語や文化を学んだのだと教えてくれます。新世代交換がキャリアの役に立ったことや、ローターアクトの会員になることで地域社会への奉仕に目覚めたことなどを、目を輝かせて教えてくれるのです。

ロータリーの青少年プログラムは、毎年、クラブを超えて奉仕の理念や友情、指導者養成を何十万人もの青少年に届けています。こういった青少年とともに、そして彼らのために、提唱者、プロジェクトパートナー、メンターとして奉仕活動を行うことで、私たちのもっともよいところが引き出され、ロータリーのもっともよいところが引き出されます。

5月は青少年奉仕月間です。さまざまな方法で、青少年奉仕月間をクラブで祝いましょう。インターアクトクラブやローターアクトクラブを提唱すれば、行動を起こし、リーダーとなり、グローバルな視点を得るための手段を青少年に与えることができます。地元のローターアクトクラブと共同で奉仕プロジェクトを実施しましょう。ロータリーの青少年プログラムの参加者と知り合い、彼らのストーリーを地域に発信しましょう。本年度のロータリー賞のパンフレットにさまざまなアイデアが記載されています。パンフレットはmy.rotary.org/jaの会員コーナーの各種賞・表彰セクションで入手できます。

今月は、地域社会の若いリーダーたちのメンターとなり、彼らに働きかけ、意義のあるプロジェクトを一緒に行うことで、インスピレーションになりましょう。それが若者たちの未来、そして後世の人たちが生きる世界への投資となります。こうした活動こそが、彼らの人生や、私たち自身の人生をいつまでも豊かなものにしてくれるのです。


2019年4月

2分にひとり、世界のどこかで妊娠や出産に関連して女性が命を落としています。しかし、これは予防できることなのです。誕生後6週間で母親を失う新生児は、母親がいる新生児よりも死亡率がとても高いと言われています。ロータリー会長として世界中を旅する中で、こういった事実がただの悲惨な統計上の数字ではなく、現実として直面している人びととも出会いました。また、母子を救うことに全力を注いでいる方々とも出会いました。こういった方々のおかげで希望を持つことができます。そして、こういった方々の多くがロータリアンなのを私は誇りに思います。4月はロータリーの母子の健康月間ですので、皆さまも誇りに思ってくださるようなことをお話しましょう。

昨年秋、ラトビアのイェーカブピルスにある病院を訪れました。近代的な病院で、医師や看護師は患者に寄り添う、仕事熱心な熟練した医療従事者でした。しかし必死の努力にもかかわらず、彼らにはどうにもならない原因のため、母子の死亡率は依然として高いままでした。なくてはならない診断装置や、保育器のような基本的な機器すらないためです。

そこで、ロータリーの出番です。世界中から21クラブがグローバル補助金プロジェクトに参加し、この病院が必要としていた設備を提供しました。9月にこの病院の産科病棟を訪れると、最新の設備がそろっていて、患者は必要なケアを――世界中のあらゆる母と子が受けるべきケアを――受けていました。

ブラジルでは、クラブ会員が、リソース不足になっている新生児集中治療室のキャパシティーを大幅に向上させるグローバル補助金プロジェクトに、日本のロータリアンとともに参加しました。新しい保育器やモニター、その他の設備によって、地元の病院で救われる新生児の数は毎年向上しています。

モンゴルでは、ニュージーランドの職業研修チームが医師と助産師を対象とした緊急時対応技術の研修を企画し、助産師に近代的なベストプラクティスを教えるプログラムを立ち上げ、調査の上、文化的に適切な出産前教育のマニュアルを作成しました。チームが初めてモンゴルを訪れた2013年から2017年の間に、モンゴルの新生児死亡率は1,000人あたり11.2%から9.1%に減少し、妊産婦死亡率も減少しました。

私が変革的な奉仕というのはまさにこういうことで、ロータリアンが何より得意とすることでもあります。ロータリーがほかに類を見ない奉仕活動を行うことができるのは、世界中に広がるロータリーのネットワーク、人びとがもっとも必要としていることを把握する地域社会に根づいたロータリーの活動、無数のスキルや職業にまたがる会員の専門知識のおかげです。また、私たちをもっとも必要としている人びとに援助の手を差し伸べることで、私たちはインスピレーションになることができるのです。


2019年3月

国際ロータリー会長を務める中、何より心を打たれるのは人びととの出会いです。ほとんどの時間、私は世界中を旅して各地のロータリークラブを訪問しています。ロータリアンは温かく歓迎してくれます。でも、誰よりも熱烈に歓迎してくれるのは、何と言ってもローターアクターたち。ロータリーの理念に力を注ぎ、熱心に奉仕し、さらにその中で楽しむことを忘れない青年たち。それがローターアクターです。

最近の旅行のハイライトは、ガーナで60ものローターアクトクラブがある地区を訪れたことです。その数に決して満足しておらず、倍増計画を立てていました。彼らなら実行してくれることでしょう。

ローターアクターは子どもたちにポリオワクチンの接種を行っています。血液が危機的に不足しているところでは献血を行っています。子どもたちが手を洗うための施設がなかった学校に手洗い場を造っています。つまり、変革的な奉仕――地域に真の変化をもたらすプロジェクトを実施しているのです。

ウガンダのナキバレで、あるローターアクトクラブが地域社会に変化をもたらす活動を行っているのですが、その地域社会というのが難民居住地です。この若きリーダーたちは、ほかの人なら不利な状況と見るところに奉仕の機会を見出し、地域社会を築き、新しい可能性を切実に必要としている人たちのために新しい可能性を切り拓いています。

トルコでは、毎週水曜日に病院を訪れ、入院中の子どもたちとゲームをして勇気づけています。また、大学の新入生のメンターとなり、リーダーシップスキルを教えています。

ローターアクターは、この奉仕の第2世紀にロータリーが存在意義を高める道を切り拓いているのです。世界ローターアクト週間(3月11~17日)には、ぜひ地元のローターアクターたちと知り合い、クラブがどのように協力できるか話し合いましょう。所属クラブがまだローターアクトクラブを提唱していない場合、大学が近くになくても大丈夫です。地域を基盤とするローターアクトクラブという素晴らしい選択肢があります。そして、ローターアクターはロータリーファミリーの一員であることを忘れてはいけません。

ローターアクターがローターアクトクラブを卒業するときに、ロータリーファミリーまで卒業してほしくありません。すべてのロータリアンへのお願いですが、ローターアクターが既存のロータリークラブへの入会、または新しいクラブの結成にスムーズに移行できるように、力を貸してあげてください。世界を少しでも良くしようと活動するための心地のよい居場所が必要とあれば、私はいくつでも新クラブの設立を承認します。奉仕は楽しいもの、人にインスピレーションを与えるもの、誰でも参加できるものでなくてはなりません。

ロータリーが昔から優れていたことがあるとすれば、それは多様性です。かつて、「多様性」はしばしば職業、国籍、見解の多様性を意味していました。今や、年齢と性別の多様性も大きな進歩を遂げました。そして、さらに多くのローターアクターをロータリーへと迎え入れていけば、多様性はさらに高まっていきます。

ロータリーは強大な存在です。ローターアクトと力を合わせれば、まさにとどまるところを知りません。手を取り合えば、世界中で、出会うすべての人のインスピレーションになる力を秘めています。


2019年2月

昨年、私は世界各地を旅する中で、地域に変革を巻き起こしている、数多くの活気にあふれた充実したクラブや地区を訪れました。例会に出席すると、彼らのエネルギーを感じ取ることができました。会員と知り合うと、世界を変える行動人であることが見て取れました。地域を訪れると、ロータリアンの奉仕活動の結実を見ることができました。

一方で、社交クラブと何ら変わらないロータリークラブも地域によってはありました。そうであってはいけないのです。しかし幸いなことに、どんなクラブでも再活性化できる単純なアプローチがあります。

「影響力が大きい奉仕プロジェクトを最低でも1件はやってみせましょう」 これが私からすべてのロータリークラブへの挑戦状です。どのクラブにも、そうするだけの潜在力、リソースは備わっています。人びとの生活を根底から変える力があるのです。

それには何百万ドルもかかるわけではありません。私がこれまでに参加したプロジェクトの中でも最大級の変化をもたらしたあるプロジェクトでは、ハイチの助産婦たちにジープを1台寄贈しました。何かできることはないか彼女たちに聞いたところ、人里離れた地域に暮らす妊婦を訪問するための移動手段がない、というのです。そこで私たちは、ピンク色に塗ってロータリーのロゴを描いたジープを提供しました。その3年後、彼女たちがどうしているか様子を見に、ふたたびハイチを訪れました。すると、みんな結果に大喜びしていました。その地域の母子の死亡率が50%も下がったそうです。

これこそ、変化をもたらす奉仕です。

とはいっても、ジープは永遠に走り続けるわけでもなく、8年現役を務めたその車はそろそろ引退の時期でした。そこで、今度はピンク色のランドクルーザーを購入。今でも現役で、妊婦健診を必要とする僻地に暮らす女性のもとに助産婦を送り届けています。

変化をもたらすプロジェクトとは一体どういうものなのでしょうか。多額の資金が必要なわけではありませんが、人びとに働きかけ、地域に大きな影響をもたらすものでなくてはなりません。それが秘訣です。そのために、慎重な計画と徹底した調査が必要なのです。ですから、しっかりと調査を行いましょう。リソースを活用しましょう。影響力を高めてくれるパートナーを探しましょう。そして、行動を起こすのです。

もちろん、強固なクラブに必要なのは奉仕活動だけではありません。人の心をつかむ講演者を擁し、指導者育成を行い、ローターアクトとインターアクトの参加を促し、会員に価値をもたらし、ロータリーの行事に参加する理由を与えます。

変化をもたらす、よく組織だったクラブなら、ほかのことは自然とついてきます。会員の参加度は高まり、新会員もどんどん集まります。資金調達は楽になります。寄付金がどのように違いをもたらしているかが分かり、その団体が説明責任を果たしていることが分かると、人びとは積極的に寄付するものです。クラブは活力にあふれ、重要性が高まり、命の通ったものになります。そして、クラブ会員にとっても、クラブが奉仕する地域にとっても、そのクラブはインスピレーションとなるのです。


2019年1月

職業奉仕は、定義するのは難しいかもしれませんが、説明するのは簡単です。端的に言えば、ロータリーと職業が重なり合うところ、つまり仕事を通じてロータリーの理念を実践するのが職業奉仕なのです。

海外で何年間も医療機関の管理運営に携わったのちバハマに戻った私は、母国が近代的な医療施設を切実に必要としていることに気づきました。当時の施設は時代遅れで不充分であり、海外に行かなければ必要な治療を受けられないことも多かったのです。米国で培った経験なしには、その現状を変えるのは不可能だったでしょう。しかし、その経験がある私は、ほかの医療関係者と違って変化を起こすことができる立場にあったのです。職業を奉仕へとつなげ、バハマの医療改善にキャリアを捧げることができると考えました。

ロータリーが人生の一部になると、ロータリーの礎となった「力を合わせれば限界はない」というポール・ハリスの言葉が自分の職業人としての人生にも当てはまると悟りました。ひとりでバハマに近代的な医療をもたらすことはできません。しかし、のちにDoctors Hospitalでパートナーとなった医師たちと、何年もこの病院で働いてくれた熱意あふれる職員全員の力を合わせれば、どんな変化でも起こすことができました。私の目標はみんなの目標になり、現実のものとなったのです。

ロータリーはあらゆる職業を尊重し、その価値を重んじます。創立者4名の中には医師や平和構築者はいなかったことを思い起こしてください。普通の弁護士、鉱山技師、石炭商、印刷業者が始めたのです。創立時からこうして多様な職業人が集ったことは、ロータリーにとって特別な強みとなりました。この多様性は、各クラブが各地域で活動する事業や職業の全般を反映することを目的とする職業分類の制度にあらわれています。

ポール・ハリスはかつてこう述べました。「ロータリーの会員は、その一人ひとりが、自分の職業とロータリーの理想とを結ぶ環である」。当時、これは真実であり、また今でも同様に真実であるべきなのです。ロータリーの例会にかかる時間は毎週1時間か2時間ほどですが、ほとんどの人が時間の大半を仕事に費やしています。ロータリーを通じて、こういった時間も奉仕の機会となります。それはつまり、同僚、従業員、そして私たちが奉仕する地域にとってインスピレーションとなる機会なのです。


2018年12月

ロータリー年度の最初の『The Rotarian』誌では、新しいRI会長とその家族を紹介するのが慣わしです。私はいつもこの人物紹介を楽しみに読んでいましたが、いつか自分を取材するためこの雑誌のライターがクラブ例会を訪れることになるとは思いも寄りませんでした。昔から人の注目を浴びるのは苦手で、自分の写真が雑誌の表紙を飾るなんてどうも落ち着きません。しかし、編集者が選んだ写真を見た時、私は思わず微笑みました。なぜなら、その写真の主役は明らかに私ではなく、妻のエステルでもなかったのです。それは、ロータリーなんてお構いなしに、同じ方向に向かって私たちの脇を通り過ぎていくフラミンゴの1群でした ―― ある1羽を除いては。

私がロータリアンに伝えたいメッセージをこれほどうまく表現した写真はありません。群れとは逆を行くその1羽のフラミンゴこそ、ロータリーで私たちが行うべきことを見事に表しています。そのフラミンゴは、誰もがある方向に向かっていることを知っています。それは分かっているのです。しかしまた、群れが向かっているその方向が最善ではないかもしれない、ということもそのフラミンゴには見えています。もしかしたら、あっちの方にもっと良い道があるかもしれない。友達と一緒に道を進む前に、このフラミンゴはそちらもよく見てみたいのです。立ち止まって見てみるとそちらの道の方が良さそうだということになったら、群れを呼び戻して一緒に確かめようと誘うことでしょう。もしかしたら、全員が一緒にそのより良い道を選ぶことになるかもしれません。

変化を起こすのは難しいものです。ある方向に向かって邁進してきた期間が長ければ長いほど、一緒に進む友人が多ければ多いほど、そこで立ち止まって別のやり方を選ぶのは難しい。しかし、組織が進化したい、重要性を失いたくない、正しい方向に進みたいのであれば、変化は欠かせません。それも、ただ変化を起こせばいいというわけではなく、慎重に、よく練られた、目標に向けての変化でなくてはいけません。

ですから、表紙の写真をよく見てください。といっても、見て欲しいのは私の顔ではありません。主役は私ではありませんから。その1羽のフラミンゴこそ、表紙の主役です。良く晴れた朝にバハマで散歩するときも、ロータリーの進路を決めるときであっても、ほかにもっと良い別の道はないかと探してみる好奇心、勇気、そして信念を、この表紙は表しています。


2018年11月

もう30年以上も前のこと、6月上旬のある日に、私はラスベガスに出張することになっていました。ロータリーに入会してから6年後くらいのことで、例会には欠かさず出席し、クラブ幹事を務め、クラブ会員の全員とは知り合い。私としては熱心に活動しているつもりでした。しかし私にとって、ロータリーはあくまで地域の団体だったのです。ナッソーや、バハマ全土にもつなげてくれるかもしれないけれども、せいぜいそこどまり。

バハマより外のロータリーの世界についてはあまり考えたことはなく、国際大会に出かけていこうなどとは思いも寄らないことでした。しかしその年の春、ラスベガスへの出張がロータリー国際大会と同時期であることに気づいた私は、行ってみるか、と思ったのです。この経験が人生を変えることになるなどとはつゆ知らず、登録して登録費を支払いました。

国際大会の会場に足を踏み入れると、私は驚いて息をのみました。自分は全世界100万人以上の会員を擁するグローバルな団体の一員なのだと知ってはいましたが、その真っただ中にいるとまさに圧巻でした。本会議にはすべて出席し、友愛の家ではすべてのブースを訪れ、ロータリーでそんなことができるとは知りもしなかったようなプロジェクトについて学びました。この国際大会が私の眼を開き、視野を広げてくれました。ロータリーに対する見方、ロータリーが私のためにできること、そして私がロータリーを通じてできることについて、考え方をすっかり変えてくれました。このとき受けたインスピレーションが今でもずっと残っています。そして毎年国際大会に参加するたびに、新たなインスピレーションを得ています。

2019年6月、第110回ロータリー国際大会で一生の思い出をつくるために、世界中のロータリアンがハンブルグに集結します。私のように、もう何年も国際大会に参加している人も多くいれば、初参加の人も多くいることでしょう。古くからの知己と旧交を温めたい人も、新しいロータリー年度に向けてインスピレーションを探している人も、ただロータリーとはどんなものなのだろうと見に来たという人も、誰でもハンブルグで答えが見つかります。

ハンブルグはドイツを世界に結びつける港町で、何世紀も昔から経済、文化の中心地でした。湖畔を散策したり、エルベ川で川下りをしたり、ディナーを楽しんだり、音楽を鑑賞したり、面白そうな博物館を訪れたりと、観光には最適の街です。また、ヨーロッパ旅行のスタート地点としても理想的です。

毎年国際大会に参加している人なら、ハンブルグで友情とインスピレーションを見つけるチャンスを決して逃したくはないはずです。国際大会に参加したことがない人は、これを私からの個人的な招待状だと思ってください。12月15日までにriconvention.orgで登録すれば早割が適用されます。この国際大会が、皆さまのロータリーでの旅路を導くインスピレーションになりますように。


2018年10月

毎週木曜日の朝、世界保健機関(WHO)からポリオ撲滅の最新情報に関するEメールが私の元に届きます。このメールには、現在実施中の予防接種活動の場所や実施方法、予防接種を受けたこどもたちの数、環境調査により判明したウィルス蔓延の兆候が見られる場所といったさまざまな情報が記載されています。しかし毎週のことですが、Eメールが受信ボックスに届くと、最初の一行に目を通し、その週に野生ポリオウイルスによるまひを発症したこどもがいないことを確認するまで心臓が一瞬止まるような緊張感を覚えます。

皆さん、これが今私たちがポリオ撲滅に取り組んでいる現実です。Eメールを開いた時に私が気になることは、つい最近まで私たちが心配していたような、一年間にどれだけ多くの患者が発生するのか、ということではありません。毎週木曜日にWHOからのEメールが届いた時に私が知りたいことは、「今週は新しい症例があったのか、それともなかったのか」ということだけです。

30年前までは、毎日1,000人ものこどもたちがポリオによるまひを発症していました。それ以来、私たちは年を追うごとに、そして週ごとに前進を続けており、ポリオ撲滅を宣言した国や地域を数多く祝ってきました。目標の達成に近づくにつれ、新規患者の発生数も減少の一途をたどっています。この数にも反映されていますが、こどもたちの被害の数も次第に少なくなってきています。毎週木曜日にEメールを開いた時、そこに書かれている数字は気にしません。私が気になるのは、「今週はまひを発症した子どもはいなかったのか、それともいたのか」。これだけです。

ポリオ撲滅という夢はもう手の届くところにあります。しかし、私たちにはまだまだやるべきことがたくさん残っています。

今月、私はすべてのロータリークラブに対し、10月24日の世界ポリオデーにあわせ、「End Polio Now」の取り組みを後押しするよう呼びかけています。昨年は世界各地の何千ものロータリークラブがさまざまなイベントを主催し、ポリオ撲滅の啓蒙活動と資金調達を行いました。そして今年も、世界ポリオデーのイベントの登録数が過去最多になることを願っています。もし既にイベントを企画している場合は、endpolio.orgに登録して拡散し、参加者を増やしましょう。まだイベントを企画していない方も、まだまだ間に合います。さまざまなアイデアや、今年の生配信に関する情報、イベントを成功に導くリソースをendpolio.orgにご用意しています。是非ご覧ください。

世界ポリオデーはロータリーの活動だけでなく、これまでのポリオ撲滅に関する私たちの取り組みを地域社会の人びとに知ってもらう大きなチャンスです。また、『ポリオ撲滅のためにロータリーが集めた金額に対し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団がその倍額を上乗せする』というゲイツ財団の取り組みを生かすことも大きな効果があります。10月24日の世界ポリオデーを成功させるためにも、私や世界各地のロータリアンに皆さまの力をお貸しください。ポリオのない世界を実現するインスピレーションになりましょう。


2018年9月

ロータリーが一日に行う活動のすべてをスナップ写真で捉えたとしたらどうでしょう?たったひとつの団体がこれほど多くのことを一日で達成できるとは、到底誰にも(ロータリアン以外には)信じられないでしょう。この写真には、熱心なボランティアたちがポリオ撲滅活動にあたり、小口融資を手配し、安全な水を提供し、青少年を指導するなど、多くの活動に尽力する姿が写っています。

これらはすべて、ロータリーが世界中に広がり、クラブ会員が地域社会に関わっているからこそ可能なのです。奉仕活動を行う地域社会の一員であるロータリー会員は、そのニーズを理解し、地元とつながりがあり、すぐに行動を起こすことができます。あらゆるロータリークラブの会員基盤が地域社会の多様性を反映すべきなのは、このためです。

この点で、ロータリーは大きく前進してきました。エジプトやインドネシア、ケニアでは、ロータリー会員のうち女性が占める割合は50パーセントに近づいています。また、クラブ会員の年齢も多様になりつつあります。どの地域社会でも、若い職業人が社会のために才能を発揮し、社会に貢献し、メンターから学びたいと望んでいます。ロータリーの理念を彼らに伝えましょう。ロータリーのホームページ(www.rotary.org/ja)の「若い世代の職業人とともに」キットには、地元の若いリーダーやロータリーの学友に働きかけるための行動計画が紹介されています。

ロータリーに地域社会をより良く反映するための力強い助っ人となるのが、ローターアクトです。ロータリーと同じくグローバルな組織であり、25万人の会員を擁し、奉仕とリーダーシップというロータリーの価値観を共有しています。ローターアクターは私たちのパートナーです。一緒にプロジェクトを実施し、イベントで講演してもらい、クラブへの入会を誘いましょう。世界各地で、熱心なローターアクターたちがロータリーの会員となっています。また、ローターアクトの会員でありながら新しいロータリークラブを立ち上げるローターアクターもいます。

世界はロータリーを必要としています。そして、ロータリーはもっとよいことをしていくために強いクラブと熱心な会員を必要としています。ロータリー入会に関心のある人びとを誘うは、私たち一人ひとりの責任です。ロータリー入会に関心のある人に対して適切なクラブを紹介するための「入会候補者情報プログラム」を利用してください。そして、ロータリー会員であり続ける理由をすべての会員が持てるようにしましょう。有意義なプロジェクトに参加し、楽しむことのできる強いクラブを育てることで、ほかでは見出せない価値を会員に提供できるのです。

奉仕活動のスナップ写真に写しだされたロータリーのストーリーを、世界に発信しましょう。性別や年齢にかかわらず、社会に貢献する方法を探しているリーダーに声をかけてください。そうすることで、地域社会のインスピレーションになり、ロータリーが世界でよいことをし続ける後押しができるのです。


2018年8月

「世界を変えたければ、家に帰って家族を大切にしなさい」とはよく知られた格言です。これは、外の世界のニーズを無視するべきだということではなく、内なるニーズに目を向けるべきだということです。

奉仕を優先していると、「奉仕」らしいこと(プロジェクト、計画立案、ニーズのある人に目に見える恩恵をもたらす活動など)にだけ集中したくなることもあります。しかし、効果的に活動するには、家庭をきちんとしなければなりません。ロータリーでは、これはロータリーの方針に従って行動すること、敬意をもって他者に接すること、「四つのテスト」に従うことを意味します。慎重に計画を立ててリソースを賢明に管理し、活動の影響を最大限にすることを意味します。また、熱意ある会員から成るロータリーの会員基盤を固め、健全さを保つことで、ロータリーの長期的な健全性を守ることを意味します。

ロータリーの会員数はこの20年間、120万台のままです。伸びがなく、会員の年齢層はあがってきています。影響を与えられるだけの知識もモチベーションもないクラブが多すぎるのです。ロータリーが世界的に何を行っているのか知らないクラブや、ロータリーのプログラムや財団について知らないクラブ、ロータリーの活動にどうやって参加できるかすら知らないクラブが多すぎます。そして、いまだに男性が会員の大半を占めています。奉仕活動の意欲がある女性に選ばれる団体になれるようなことを、充分に行っていないのは明らかです。

ロータリーは何より会員制団体です。掲げた目標を達成したいのであれば、まずは会員増強に取り組まなくてはなりません。私たちの誰もが、入会候補者をロータリーに誘うだけでなく、クラブが何か価値のあるものを新会員に提供し、迎え入れられるようにして、会員増強に真剣に取り組む責任があります。例会に来て戸惑っている人がいたら、席を勧めて会話に招き入れてあげましょう。強い関心を寄せているロータリーのプログラムがあれば、必ずクラブにそのことを伝えて、プログラムに参加する方法を教えましょう。地域社会でニーズを見つけたら、次の例会で話し合いましょう。積極的で、世界に影響をもたらす力を持つ団体の一員となりたいなら、まずは内から始め、ロータリーの中でインスピレーションになることです。


2018年7月

一年前、国際ロータリー理事会は、ロータリーとその未来に向けた私たちの大志を表した新しいビジョン声明を採用しました。「私たちロータリアンは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能な良い変化を生むために、人びとが手を取り合って行動する世界を目指しています」というものです。

このシンプルな一文には、ロータリーの本質が凝縮されています。私たちは団結します。なぜなら、団結すればひとりよりもずっと大きなことが成し得るからです。夢想家ではなく行動人である私たちは、行動を起こします。地元でも、世界でも、ロータリーの活動が終了した後もずっと続く永続的な変化を生み出すために、ロータリーは活動します。そして、おそらく何より大事なのは、ロータリーは自分自身に変化を生み出すために活動するということです。周りの世界をより良くするだけでなく、私たち自身がより良い人間になるために。

フランス人作家のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、「船を造りたいなら、木を集めさせたり、作業や任務 を割り振るのではなく、はてしなく続く広大な海への切望の心を培うことから始めなさい」と言ったとされています。私たちは皆、望みを抱いてロータリーに入会しました。影響を及ぼしたい、世界を変えたい、自分ひとりの存在よりも大きな何かの一部になりたい、という望みです。その切望、そのより良い世界とその世界を築くための役割のビジョンこそ、私たちのロータリー活動を支えるものです。これこそ私たちがロータリー会員になった理由であり、奉仕活動を行う理由であり、私が本年度のテーマ、「インスピレーションになろう」を選んだ理由です。

人びとの暮らしを変えるような影響をもたらす活動を行うことで、ロータリーに地域社会のインスピレーションになってほしいと私は思っています。今こそ、活動を阻んでいる障壁を取り除き、前に踏み出すときです。クラブの規則を変更したり、さまざまなニーズに応える新しいクラブを結成できるようにしましょう。ローターアクトの強化に取り組み、ローターアクトクラブからロータリーへとスムーズに移行できるようにしましょう。すべてのロータリアンがロータリー会員であることに永続的な価値を見出せるように、全員が自分にとってベストの形で奉仕活動が行えるようにしましょう。

私たちがロータリーで行おうとしている真に持続可能な奉仕は、自分が行う活動のすべてをより大きな、全世界的な生態系の一部としてとらえることを意味します。本年度は、環境問題が私たちの活動にもたらす影響を取り上げて、持続可能な奉仕活動のインスピレーションになることを全ロータリアンに呼びかけます。環境は6つの重点分野すべてにおいて大きな役割を担っており、その重要性は気候変動の影響が明らかになるにつれ高まる一方です。環境問題を6つの重点分野とは別物としてとらえる見方からはもう脱却するべきです。きれいな空気、水、大地は、地域社会の健康にとって欠かせません。そして、私たちが求めるより良い、より健全な未来にとっても欠かせないものです。

インスピレーションになりましょう。力を合わせれば、私たちは世界にインスピレーションを与えることができるのです。